かぎ針編みの引き抜き編みとは?針を入れる場所と3つの使い方
編み図の小さな印や、文章の「引き抜き編み」「sl st」を見て、最初の目と立ち上がりの鎖のどちらへ針を入れるのか迷うことがあります。引き抜き編みの基本動作は1つですが、輪をつなぐ、編む位置を移す、2枚をとじる場面では対象が変わります。動作と入れる場所を分けて確認しましょう。
執筆・確認: amilog編集部公開日: 最終更新:

まず答え
引き抜き編みは、レシピが指定する目・鎖・スペースへ針を入れ、糸をかけ、その糸を編み地の目と針にかかっているループへ一度に引き通す編み方です。高さをほとんど出さず、輪や段をつなぐ、次に編む位置まで移動する、2枚をとじ合わせる用途があります。つなぎ目の引き抜き編みは通常の目数へ含めないことが多い一方、連続して編み目を作る指定もあるため、対象位置と目数は作品の文章・編み図・凡例を優先してください。

この記事で分かること
- 針は近くの穴ではなく、レシピが指定する目・鎖・スペースへ入れる
- かけた糸を、対象の目と針上のループへ一度に引き通す
- つなぐ・移動する・とじる用途と、目数に含めるかを別々に確認する
引き抜き編みは「針を入れて、一度に通す」
針にループを1本残す
直前の編み目を終えた状態で、針には作業中のループが1本あります。先に糸をかけず、まず次の手順で対象位置へ針を入れます。
指定された場所へ針を入れる
前段の目の頭、最初の鎖、鎖スペース、2枚の縁など、文章や編み図が示す場所へ針を通します。見た目が近い場所で置き換えません。
糸をかけて一度に引き通す
針へ糸をかけ、その糸を対象の目と、もともと針にあったループの両方へ続けて通します。終わったとき、針のループは再び1本です。
編み地が引きつれていないか見る
引き抜き編みは低い目なので締まりやすくなります。次の目へ針が入る余裕と、縁が縮まないゆとりを残します。
針を入れる場所は用途から決める
| 場面 | 対象の候補 | 確認すること |
|---|---|---|
| 鎖を輪につなぐ | 最初に編んだ鎖 | 何目の鎖で輪を作り、最初の鎖のどのループを拾う指定か |
| 輪・段の終端をつなぐ | 最初の通常目、または指定された立ち上がり鎖 | 立ち上がりを1目と数えるか、最初の目に目印があるか |
| 編む位置を移す | 次の目、鎖、鎖スペースなど | 何目移動するか、移動後にどの模様を始めるか |
| 2枚をとじる | 2枚の対応する縁の目・ループ | どのループを拾うか、表裏、開けておく部分があるか |
3つの使い方を区別する
1. 輪や段をつなぐ
鎖の端同士をつないで輪を作ったり、1周の最後を最初の指定位置へつないだりします。つないだあと、次段の立ち上がり鎖へ進む作品があります。
2. 編む位置を移す
高さをほとんど増やさず、次の模様を始める目やスペースまで進みます。移動の引き抜き編みを模様の通常目として数えるかは、段の説明を確認します。
3. 2枚をとじ合わせる
重ねた2枚の対応する縁へ針を通し、同じ基本動作を繰り返してつなぎます。輪を閉じる1目だけの操作とは、拾う対象と繰り返す範囲が違います。
3つとも、糸を対象の目と針上のループへ一度に通す点は共通です。違うのは、どこへ針を入れるか、何回繰り返すか、その目を完成目数へ含めるかです。用途の名前だけで判断せず、直前と直後の指示まで読みます。
輪編みは「毎段つなぐ」と「閉じずに続ける」を見分ける
| 進み方 | 段の境目 | 引き抜き編み |
|---|---|---|
| 段ごとに区切る輪編み | 最後の目から最初の指定位置へ戻る | 段末でつなぎ、次段の立ち上がりへ進む指定が多い |
| らせん状に続ける輪編み | 前段の最初の目へそのまま次段を編む | 段末でつながず、最初の通常目へ目印を移す指定が多い |
Craft Yarn Councilの指導者向け資料も、輪編みを、最後と最初を引き抜き編みでつないで次段を立ち上げる方法と、らせん状に続ける方法に分けています。円、筒、モチーフなど作品の形だけでは方式を決められないため、段末の文章と目印の指示を確認してください。
目数・立ち上がり・針のループを混ぜない
| 数えるもの | 役割 | 判断 |
|---|---|---|
| 段の通常目 | 細編み・中長編み・長編みなど模様を作る目 | 段の完成目数として数える |
| 立ち上がり鎖 | 次段の高さを出す | 1目と数えるかは編み方とレシピ指定による |
| つなぎ目の引き抜き編み | 段末と段頭をつなぐ | 通常は別扱いだが、必ず作品の目数表記を優先する |
| 針にかかる作業中のループ | 次の動作へ糸を保つ | 完成した1目として数えない |
段末で目数が合わないときは、通常目を先に数え、立ち上がり鎖を含める指定か、つなぎ目へ余分に編んでいないかを別々に確認します。引き抜き編みそのものを一律に「数えない」と決めるのではなく、作品での役割から判断します。
amilogの3レシピで使う場所
ハートチャーム:輪の中で模様を終える
ハート本体は最後の鎖3のあと、レシピが指定する輪の残りへ引き抜き編みをします。その後に糸を切り、中心の輪を絞って糸始末へ進みます。引き抜き編みと糸始末は別工程です。
スクエアシュシュ:1周の最後を目印へつなぐ
フリルの最初の細編みに目印を付け、鎖5と細編みを1周したあと、最後の鎖5からその目印位置へ引き抜き編みをします。見た目が近い隙間ではなく、開始位置の目印へ戻ります。
マンタキーホルダー:移動・ひも・とじ合わせ
触角では編む位置を移し、尻尾では鎖を引き抜き編みで戻り、仕上げでは2枚の縁を繰り返しとじます。同じ技法でも、拾う場所と回数が工程ごとに違います。
よくある間違いと直し方
| 症状 | 考えやすい原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 針に2ループ残る | 目から糸を引き出したところで止めた | 引き出した糸を、そのまま元の針上ループにも通す |
| つなぎ目で1目増える | 前段の引き抜き編みへ通常目を編んだ | 最初の通常目の目印へ戻り、段の完成目数を照合する |
| 段の境目が斜めへずれる | 最初の目や立ち上がり鎖の位置を取り違えた | 段頭へ目印を付け、レシピが指定する接続位置を確認する |
| 縁やひもが縮む | 引き抜くたびにループを強く締めた | 次の目へ針が入る余裕を残し、編み地が平らか数目ごとに見る |
| とじ目の両側がずれる | 2枚の対応しない位置を拾った | 角や中心へ先に目印を付け、左右を同じ間隔で進める |
| 切ったあと糸端が残る | 引き抜き編みだけで仕上げが完了すると考えた | レシピどおり糸を切って最終ループへ通し、別途糸始末する |
編む前後のチェックリスト
- 文章・編み図・凡例で、引き抜き編みの対象位置を確認した
- 輪編みが段ごとに閉じる方式か、らせん状に続ける方式か確認した
- 最初の通常目または指定位置へ目印を付けた
- 立ち上がり鎖を1目と数えるか確認した
- 糸を対象の目と針上のループへ一度に引き通した
- 引き抜き編みを完成目数へ含めるか確認した
- 数目ごとに編み地の縮み、とじ位置、段の目数を見直した
- 最終工程では引き抜き編みのあとに糸始末が必要か確認した
まとめ:動作は1つ、入れる場所は作品ごと
引き抜き編みは、指定位置へ針を入れ、かけた糸を編み地の目と針上のループへ一度に通す低い編み目です。輪をつなぐ、位置を移す、2枚をとじる場面で同じ動作を使います。
迷ったときは、技法名だけで最初の目を選ばず、直前と直後の指示、段頭の目印、完成目数を確認してください。段を閉じる操作と糸端の始末も分ければ、余分な1目やほどける不安を減らせます。
よくある質問
- 引き抜き編みは、どこに針を入れますか?
- 輪をつなぐなら最初の鎖や段頭の指定位置、移動なら次の目やスペース、とじるなら2枚の対応する縁へ入れます。必ず同じ場所ではないため、文章・編み図・凡例を優先してください。
- 引き抜き編みはどうやって1目を完成させますか?
- 指定位置へ針を入れて糸をかけ、その糸を編み地の目と、もともと針にかかっていたループへ一度に引き通します。完成後、針上のループは1本です。
- 引き抜き編みは目数に数えますか?
- 段末をつなぐための引き抜き編みは通常目と別扱いになることが多い一方、引き抜き編みを連続して編み地やひもを作る指定もあります。一律に決めず、作品の完成目数と凡例を確認します。
- 引き抜き編みと細編みの違いは何ですか?
- 引き抜き編みは、目から引き出す糸を針上のループにも一度に通す低い目です。細編みは目から糸を引き出して2ループにし、もう一度糸をかけて2ループを引き抜くため高さが出ます。
- 輪編みは毎段、引き抜き編みで閉じますか?
- 必ずではありません。段ごとにつなぐ輪編みでは使いますが、らせん状に続ける作品では引き抜かず、次段の最初の目へそのまま編むことがあります。レシピの段末と目印の指示を確認してください。
- 引き抜き編みがきつくなるときはどうしますか?
- 糸を通した直後にループを強く締めず、次の目へ針が入る余裕を残します。数目ごとに縁が縮んでいないか平らな場所で確認し、縮んだ場合はその位置まで戻って編み直します。
- 最後に引き抜き編みをすれば、糸始末は不要ですか?
- 不要にはなりません。引き抜き編みは目や段をつなぐ操作です。作品の指定どおり糸を切り、最終ループへ通してから、残した糸端を編み地へ始末します。
参考にした基礎資料
- ごしょう産業「引き抜き編み」 — 指定位置へ針を入れ、糸をかけて引き抜く基本動作と、立ち上がりを編まずに進む実例の確認に参照
- クロバー株式会社「かぎ針編みの基礎-2/基本の編み方」 — 前段の目の頭を拾って一度に引き抜く動作、締めすぎない注意、鎖を輪につなぐ実例の確認に参照
- Craft Yarn Council「How to Read a Crochet Pattern」 — sl stの略号、joinの意味、最初の鎖へ引き抜いて輪を作る手順の確認に参照
- Craft Yarn Council「Certified Crochet Instructors Program」 — 輪編みを、段ごとに引き抜いてつなぐ方法と、らせん状に続ける方法へ分ける説明の確認に参照
- amilog「ハートチャーム」 — 輪の中で模様を終え、その後に糸始末へ進む実例として参照
- amilog「マンタキーホルダー」 — 位置の移動、鎖を戻るひも、2枚の縁のとじ合わせという3用途の実例として参照
- amilog「スクエアシュシュ」 — フリルを1周し、開始位置の目印へ戻ってつなぐ実例として参照






