棒針のすべり目とは?編まずに移す向きと糸の位置
棒針のパターンに「すべり目」「sl1p」「sl1k」と書かれていても、針をどちらから入れるのか、糸を編み地の手前と向こうのどちらに置くのかが分からないことがあります。「編まずに移す」だけなら簡単そうですが、針の挿し方と糸の位置は別の指定です。まず原本の略語説明を読み、1目を移した後の目と作業糸を確認してから次へ進みましょう。
執筆・確認: amilog編集部公開日: 最終更新:

まず答え
すべり目は、左針の指定された目へ右針を入れ、新しい目を編まずにその目を右針へ移す操作です。「裏編み方向/purlwise/sl1p」なら裏編みをするときと同じ向きに、「表編み方向/knitwise/sl1k」なら表編みをするときと同じ向きに針を入れます。どちらも移す瞬間には作業糸を針へ掛けず、左針の目だけを移します。作業糸を手前に置くか向こうに置くかは別の指示なので、原本の「糸を手前・向こう」「wyif・wyib」と続く操作を確認してください。曖昧な場合は、一般則を決め打ちせず作品の説明を優先します。

この記事で分かること
- 左針の目を編まずに右針へ移し、新しい目を作らない
- 裏編み方向・表編み方向は針の挿し方で、糸の前後は別指定
- 糸は針先の間を通して動かし、掛け目と原本の変更を避ける
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すべり目は「編まずに移す」操作
Craft Yarn Councilは、すべり目を左針から右針へ、編まずに移すことと説明しています。表編み・裏編みのように糸を掛けて新しい輪を引き出す操作ではありません。「すべらせた1目」は右針に残るので、目を落として針から外してしまう操作とも違います。
すべり目には縁の扱いや模様、減目の一部など複数の使われ方があります。ただし目的が同じでも移し方は一定ではありません。編み図や文章に方向・糸位置・次の操作が書かれているかを先に見ます。ここでいう棒針のすべり目は、かぎ針編みの「引き抜き編み」とは別の操作です。
| 操作 | 左針の目 | 作業糸と新しい目 |
|---|---|---|
| 表編み・裏編み | 編んでから左針から外す | 糸を掛け、新しい輪を作る |
| 棒針のすべり目 | そのまま右針へ移す | 移す瞬間は糸を掛けず、新しい輪を作らない |
| かぎ針の引き抜き編み | 棒針の左右移動ではない | かぎ針と編み地を使う別技法 |
指示は「目数・挿し方・糸位置」の順に読む
まず何目を移すかを確認し、次に裏編み方向か表編み方向かを見ます。そのうえで、作業糸を編み地の手前・向こうのどちらへ置くか、次に何を編むかを読みます。略語は作品内に独自の定義がある場合があるため、冒頭の「使用する記号・略語」も確認してください。
CYCの棒針略語一覧では、slは「目を移す」、sl1pは「1目を裏編み方向に移す」、sl1kは「1目を表編み方向に移す」です。wyifは作業糸を手前に、wyibは向こうに置く指定です。sl1pのpとwyifのfは同じ情報ではありません。裏編み方向に移す指示だけから、糸も必ず手前だとは決められません。
目数
sl1なら1目。2目以上をまとめて移す指定などがあれば、その作品の表記に従います。ここでは1目ずつの基本を扱います。
針の挿し方
sl1p・purlwiseは裏編み方向、sl1k・knitwiseは表編み方向。どちらも目に針を入れた後、糸を掛けずに右針へ移します。
糸の位置
wyifなら編み地の手前、wyibなら向こう。指定がないときは原本の略語説明や次の編み方を確認し、一般例から勝手に決めません。
裏編み方向(sl1p/purlwise)へ移す
原本で糸位置と移す目を確認する
左針の次の目を確認します。糸を手前・向こうのどちらへ置くかは、その作品の指示を先に読みます。
裏編みをする向きに右針を入れる
左針の目へ、裏編みをするときと同じ向きで右針先を入れます。ただし、ここで作業糸を針へ掛けません。
元の目だけを右針へ移す
右針が目を受けた状態で左針を抜き、元の目を右針に残します。糸を引き出した新しい目は作りません。
次の目を編む前に糸位置を見る
すべらせた目と次の目の間で、作業糸が原本どおりの位置にあるか確かめます。前後を動かす必要があれば針先の間を通します。
表編み方向(sl1k/knitwise)へ移す
表編み方向の指定を確認する
sl1kやknitwiseとあれば、目を移す針の向きは表編みをするときと同じです。糸の前後は別の指定で読みます。
表編みをする向きに右針を入れる
左針の指定された目へ右針先を入れます。表編みのように糸を針に巻き付けたり、輪を引き出したりはしません。
目を右針へ移して止める
元の目を右針へ移します。続けて「かぶせる」「左針へ戻す」などの指示があるなら、その順序を原本どおりに進めます。
CYCのKnit 911は、減目に使うすべり目の例で表編み方向を示しています。その例を、すべての縁目や模様へ広げることはできません。表編み方向と裏編み方向では目を移す向きが異なるため、原本にsl1pと書いてあるところをsl1kへ置き換えないでください。
糸を手前・向こうへ動かすときは、針の上を回さない
「裏編み方向」と「糸を手前」は別の選択です。Knit Picksの端目の例には、裏編み方向にすべらせ、糸を手前に置く指示が両方書かれています。一方、CYCは裏編み方向で糸を向こうに置く例も示しています。したがって、挿し方だけで糸位置を推測しないことが大切です。
作業糸を手前から向こう、または向こうから手前へ移すときは、左右の針先の間を通します。右針の上を越えて糸を回すと、意図しない掛け目が右針に残ることがあります。CYCは、段の端や途中にできる余分な目の原因として掛け目を挙げています。原本が掛け目を指示していないなら、すべらせた目の隣に新しい輪が増えていないか見てください。
| 見つけた表記 | 決まること | まだ確認すること |
|---|---|---|
| sl1p/purlwise | 裏編みをする向きで目を移す | 作業糸を手前・向こうのどちらへ置くか |
| sl1k/knitwise | 表編みをする向きで目を移す | 作業糸の位置と、次に編む目 |
| wyif/糸を手前に | 糸を編み地の手前に置く | 目をどの向きで移すか |
| wyib/糸を向こうに | 糸を編み地の向こうに置く | 目をどの向きで移すか |
小さな練習片で指示を一つずつ試す
作品の編み地を変える前に、別の小さな練習片で「1目を裏編み方向に、糸を向こうに置いて移す」という組み合わせを試せます。左針に目が残る状態から始め、作業糸を向こうに置き、右針を裏編み方向に入れて1目を移します。その後、次の目を原本のように表編みするなら、作業糸を向こうに保って編みます。移した目の隣に掛け目がなく、左右の針の目を合わせた数が変わらないか確かめます。
これはsl1pとwyibを別々に読むための練習例で、既存の無料レシピを変更する指示ではありません。amilogの「かんたんガーターマフラー」は全目表編みを指定しており、段の先頭をすべり目にする指示はありません。作品を編むときは原本どおりに進め、すべり目のある別パターンではそのパターンの略語・糸位置に従ってください。
失敗を見つけたときの切り分け
目が左針から落ちた
すべり目は目を右針で受けてから左針を抜く操作です。編み地に目が開いて落ちていれば、作業を止めて落とし目の位置を確認してください。
右針に余分な輪がある
作業糸が針の上を回っていないかを見ます。原本に掛け目指定がなければ、すべり目そのものと別の輪を作っていないか数え直します。
次の目が編みにくい
糸が次に編む目に対して適切な前後位置にあるかを見ます。針の挿し方だけを直す前に、原本のwyif・wyibと次の表裏編みを読み返してください。
すべらせた目の向きが分からない
sl1pかsl1kか、作品内の略語説明を再確認します。目を無理に引っ張って進めず、必要なら前の操作へ一目ずつ戻り、指定の向きで移し直します。
端の形が期待と違う
Knit Picksは端目の扱いに複数の方法があり、一貫した処理が大切と説明します。ただし同資料の図例はメリヤス編みで、ガーターマフラーに自動適用する指定ではありません。
次の目へ進む前のチェックリスト
- 原本で移す目数と、すべり目の後にする操作を読んだ
- 作品内の略語説明で裏編み方向・表編み方向を確認した
- 作業糸を手前・向こうのどちらへ置くか別に確認した
- 右針で元の目を受け、糸を掛けずに左針から移した
- 糸を前後に動かすとき針先の間を通し、余分な掛け目を作っていない
- 左右の針の目を合わせて確認し、原本にない変更を加えていない
まとめ:向きと糸位置を別々に確認してから移す
棒針のすべり目は、左針の目を編まずに右針へ移します。sl1pなら裏編み方向、sl1kなら表編み方向に針を入れますが、どちらも移す瞬間に糸を掛けて新しい目を作りません。糸を手前・向こうのどちらに置くかは別の指定です。針先の間で糸を動かし、意図しない掛け目がないか見て次の操作へ進みましょう。
原本の「すべり目」が曖昧なら、作品の略語説明に戻ってから別の練習片で試します。表編み・裏編み自体が分からなければ「棒針の表目・裏目の見分け方」へ、目がねじれたように見えるなら「ねじり目の見分け方と直し方」へ進めます。これから棒針を始める人は初心者コースで基本を確認し、無料レシピは記載された編み方のまま進めてください。
よくある質問
- 棒針のすべり目とは何ですか?
- 左針の目を編まずに右針へ移す操作です。移す瞬間に作業糸を掛けず、新しい目を編み出しません。かぎ針編みの引き抜き編みとは別の技法です。
- すべり目は裏編み方向と表編み方向のどちらで移しますか?
- 作品の指示に従います。sl1pやpurlwiseなら裏編みをする向き、sl1kやknitwiseなら表編みをする向きです。slだけのときは作品内の略語説明を確認してください。
- 裏編み方向へ移すときは、糸を必ず手前に置きますか?
- いいえ。針の挿し方と糸の前後は別の指定です。CYCには裏編み方向で糸を向こうに置く例があり、Knit Picksには裏編み方向で糸を手前に置く例があります。原本のwyif・wyibなどを確認します。
- sl1pとsl1kの違いは何ですか?
- sl1pは右針を裏編みをする向きに、sl1kは表編みをする向きに入れて1目を移す指定です。どちらもその場で新しい目は編みません。
- すべり目の後に目が増えたのはなぜですか?
- すべり目そのものでは新しい目を作りません。糸を前後に動かす際に針の上を回して余分な掛け目ができていないか、原本に掛け目指定があるかを見て、左右の針の目を合わせて数えてください。
- ガーターマフラーの最初の目をすべらせてもよいですか?
- amilogの無料「かんたんガーターマフラー」は全目表編みの指定で、すべり目は含みません。進行中の作品へ自己判断で加えず、すべり目は別の小さな練習片で試してください。
参考にした基礎資料
- Craft Yarn Council「Reading Instructions & Other Basics」 — knitwise・purlwiseは表編み・裏編みをするときと同じ向きに針を入れて、新しい目を編まずに右針へ移す説明を確認。
- Craft Yarn Council「Knit 911」 — すべり目の基本、裏編み方向で糸を向こうに置く例、減目で表編み方向に移す例、意図しない掛け目による余分な目を確認。
- Craft Yarn Council「Knitting Abbreviations Master List」 — sl・sl1k・sl1pと、糸位置を表すwyif・wyibの略語、作品独自の略語は原本で確認する注意を参照。
- Knit Picks「Selvages (Edge Stitches)」 — 裏編み方向と糸を手前に置く指定が両方必要な端目例、端処理の一貫性、図例がメリヤス編みである点を確認。
- amilog「かんたんガーターマフラー」無料レシピ・原本 — 全目表編みの指定で、すべり目を追加する指示がないことを確認。練習例と原本レシピを区別するために参照。



